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ご自身が、がんになったら

無理せず、社会性を維持することが大切

Q:

仕事への復帰を念頭においた闘病計画のコツを教えてください。

入院中は、手術、薬物治療、放射線治療などで一般的に以前よりも体力が低下しているものです。仕事をしている方は社会的なコミュニケーションをとる機会が減り、職場に戻って以前と同じように仕事ができるか不安になるケースもあります。職場復帰に向けて闘病中に心がけていたポイントをお聞きしました。

岸本葉子さん

答えてくださる方

岸本 葉子さん
エッセイスト
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体力の回復と社会性の維持

入院中も仕事への復帰を視野に入れて、自分でリハビリを心がけるようにしていました。体力が戻るように自分のフロアでのウォーキングから始めて、それができるようになったら階段の昇り降りをして、退院後を視野にいれた体力の回復に努めました。

また、社会性の維持といいますか、医師や看護師、技師といろんな方に接するのも社会的なコミュニケーションを維持するチャンスだと考えて、なるべく対等にかつ礼を失しないで話すようにしていましたね。看護師さんも名前で呼んで。術後の安静のときには、タオルでの清拭や、パンツ代わりのT字帯の着替えなど、なにからなにまで受身100%なんですけれども、患者になったからなんでもお任せというのではなく、かたちとしては受身でも、紙袋にタオルやガーゼパンツ、T字帯を順に入れて、図に描いて貼っておくというように、お互いコミュニケーションをとって、共同作業をしましょうというスタンスを維持しようと意識していました。

さりげなく「交通整理」

また、入院前には周囲の人へ、この期間は連絡が取れませんということを伝えました。社会性を維持するというのは、必ずしも普段と同じように連絡が取れるような体勢でいることではないように思います。いまはパソコンや携帯もありますのでいつも通りに連絡が取れるようにすることも不可能ではありませんが、術後は動けなかったり、具合が悪かったりして、メールができなくなることもあります。普段どおりにできるつもりでいて、数日間メールの返信ができないと却って混乱を招きかねないので、できませんと伝えた上で、その中から自分の状況に合わせて仕事を再開していきました。

体調がよくなってくると、パジャマ以外の服や簡単な化粧道具は準備しておいて、病院のカフェで打ち合わせをすることもありました。入院によって迷惑がかからないよう、早めに原稿を送って校閲を入れてもらえるよう体制を整えるなど、できる限りの配慮もしていましたが、それでもなにかあったときのために病院のファックスを教えてくれなんて編集者も中にはいました(笑)「手術をしてその日は全身麻酔で寝ています」と具体的に言わないとなかなか理解してもらえないのだなと(笑) わかってもらおうというのが難しいので、がんと告げない範囲で入院が必要なほどには体調を崩したということはアピールして、「交通整理」をしていましたね。

がんも日常生活の一部。落ち着くところに落ち着いてゆく

がんを公表した当初は仕事も減りましたし、種類も変わりました。インタビューや執筆も生き死に関わることが多くなって、いままでの日常生活的なものも一時的に減りました。人によってはがんと題名につくだけで、どう書いているか以前に拒否反応を示す方もいます。けれども、いままで自分がしてきた日常生活というテーマに、がんが部分として加わっただけで、そのことを無理やり否定しない。がんが知られるところとなって失った仕事もずいぶんあるけれども、それはそういうことだったんだと思って、考えないようにしています。

がんも日常の一部だと割り切って普通にやり過ごしているうちに、次第に仕事内容も元に戻っていって、落ち着くところに落ち着いてきたように思います。

 
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Last Updated: 2018/8/03L.JP.OH.09.2014.0841