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ご自身が、がんになったら

不安の正体を医療者と一緒に見極めましょう。一人でできるリラクセーションやイメージ療法もあります

Q:

不安でたまりません。どうしたらよいでしょうか?

がんになったとき、不安の原因はさまざまです。医療者に相談して、不安の原因を一緒につきとめることをお勧めします。症状の種類や程度によって自律訓練や薬物療法などを行うと効果的です。1人で悩まず、医師や看護師に相談しましょう。

保坂隆先生

答えてくださる方

保坂 隆先生
東海大学
医学部教授(精神医学)

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1人で悩まずに、相談を

がんになったとき、患者さんの多くが不安を感じられます。

“がんの社会学に関する合同研究班”が行った、「がん体験者の悩みや負担等に関する実態調査報告書」によると、「不安などの心の問題」はがん患者さんが抱える悩み全体件数の約半分近くを占めていることがわかりました。その悩みの割合は「診断された頃」「診断から現在に至るまで」「現在」ではそれぞれ、61.1%、37.3%、43.2%と経時的に変化しており、時期によって患者さんの悩みが大きく変化していることもわかりました。

「がん」と診断された頃は、ショックや混乱、将来に対する漠然とした不安、死を意識してしまう不安や絶望感が多く見られます。これらの不安は、時間の経過とともに少しずつ癒されますが、かわって再発や転移への不安が多くなってきます。常に不安定な精神状態で悩んでいる患者さんも少なくありません。

大きなストレスによって一時的に心に変調をきたしてしまうことは、誰にでもあることです。不安が続くようであれば、我慢しないで精神科医にご相談いただきたいと思います。精神科医は患者さんと一緒に、不安の原因を突き止めて対応策を考えるお手伝いをいたします。がん患者さんのおよそ1/3にうつ病や適応障害があることがわかっています。必要な場合には、精神療法に加えて抗うつ剤を服用することで不安症状の改善を目指します。

また、がんという病気に対して不安を訴えている場合には、ご家族などの関係者に、次のような対応をお願いしています。

第1は、傾聴や共感といった形で患者さんの話をじっくりとよく聴いてあげることです。患者さんは、しゃべることによって安心することができます。これは「カタルシス」という、抑圧された感情や体験を言葉や行動として外部に抄出して、心の緊張を解消する精神療法のひとつです。

第2は、そばに寄り添う方法です。これによって、孤立感、孤独感をやわらげることができます。

第3は、腹式呼吸、漸進性筋弛緩法、自律訓練など、リラクセーション(後述)と総称される方法を患者さんの生活に取り入れることです。

不安なときはリラクセーションなどを

不安なときに患者さんが一人でも、できるものとして、1)腹式呼吸、2)漸進性筋弛緩法、3)自律訓練などのリラクセーションがあります。

それらのリラクセーションほかイメージ療法について、私が主任研究者を務めた平成19年度厚生労働科学研究費補助金(がん臨床研究事業)「がん患者や家族が必要とする社会的サポートやグループカウンセリングの有用性に関する研究」において作成した「がん患者さんのためのグループ療法マニュアル(第3版)」では、次のような趣旨の説明をしています。

●腹式呼吸

腹式呼吸は、自律神経のバランスを整え、体をリフレッシュさせます。

深呼吸で、おなかで息をするようにします。普通の睡眠状態のときには、意識しないでも腹式呼吸をしています。朝起きたとき、おなかの上に手を乗せると、おなかが膨らむような息をしているのがわかりますが、それが腹式呼吸です。ゆっくり息を吐くところからやってみましょう。

●漸進性筋弛緩法

漸進性筋弛緩法は、全身の筋肉の力を順番に抜いていき、ストレスや疲労で硬くなった体をほぐすリラクセーションです。これは、だんだんと進んでいくという意味で「漸進性」と表現される筋弛緩法です。

まず、肩の力を抜いてください。・・・次に足の裏の力を抜いてください。いきなり力を抜くというのは、簡単ではありません。そんなときは、いったん、その部分に力を入れ、そして一気に力を抜くという方法でやってみます。まず、肩をギュッと耳に付けるように上げ、これを5~10秒くらいやってから、一気に息を吐きながら力を抜きます。力を抜いたら、腹式呼吸をします。

●自律訓練

自律訓練といわれるもののごく一部で、一種の自己暗示を行います。目を軽く閉じてください。そして、声には出さないで、「両手がだんだん温かくなる」と、何度も何度も心の中で繰り返してみてください。両手がだんだん温かくなる・・・両手がだんだん温かくなる・・・両手がだんだん温かくなる・・・。これは、訓練すると必ずできるようになりますから、ゆっくり練習してみましょう。

●イメージ療法

十分にリラックスした状態でイメージ療法に移っていきましょう(「がん患者さんのためのグループ療法マニュアル(第3版)」でのB案より)。ここでは、がん細胞とリンパ球のイメージを頭の中に作って、がん細胞がリンパ球に負けてしまうところを、まるで映画やビデオを見ているかのように映像化するものです。みなさんは、実際にはがん細胞やリンパ球を見たことはないと思いますので、イメージでいいのです。100人いたら100種類のイメージができるはずです。

今までの経験ですと、がん細胞の場合はあまりいいイメージではないので、黒っぽかったり、暗い色だったり、形もゴツゴツしていたり、イガイガが出ていたりしているようです。一方、リンパ球のほうは、みなさんのからだを守っている細胞ですので、元気がいい感じで、色や形もきれいなイメージを作る方が多いようです。そして、このリンパ球が、がん細胞を取り囲んで、がん細胞がだんだん弱く、小さくなっていき、やがて死んでしまうところをイメージしていくのです。さっそくやってみましょう。どんなイメージでもいいのですよ。

はい、軽く目を閉じて・・ゆっくりした呼吸をしてみましょう・・はい、頭の中にがん細胞とリンパ球のイメージを作り、両方が戦って、やがてはがん細胞が弱っていって死んでしまうところをイメージしてください。

●終了時

はい、それでは今から数字を7つまでゆっくり数えます。5つ目までは、今のイメージを強く持ち続けてください。ひとーつ・・ふたーつ・・3つ・・4つ・・5つ・・・今度はだんだん目を覚ましていきます・・6つ・・だんだん目を覚ましていきます・・ななーつ・・・はい、ゆっくり目を覚ましましょう、ゆっくり目を開けてください。・・両手を組んでギュッと身体の前に伸ばしてください。・・はい、では力を抜いて楽にしてください。

いかがでしょうか?とても気持ちが落ち着いてきましたね。

 
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Last Updated: 2018/8/03L.JP.OH.09.2014.0841