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ご自身が、がんになったら

精神科医の主な仕事は患者さんの問題整理のお手伝い

Q:

主治医から精神科を紹介されました。
どんな治療が受けられますか?

がんになって、不安感や抑うつが強いときには精神科を受診することもあります。精神科の仕事は、患者さんの心が少しでも軽くなるように、問題を整理して、不安というトンネルを抜け出す手助けをすることにあります。精神科を受診するというとためらう患者さんもいるようですが、不安や抑うつはがまんしてもよいことはありません。

大西秀樹先生

答えてくださる方

大西 秀樹先生
埼玉医科大学国際医療センター
精神腫瘍科教授

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訴えを聴き、問題を整理する

がんは身体の病であるだけではなく、適応障害、うつ病、せん妄などを併発する心の病という側面も持ちます。ですから、治療にはがんを治す医師だけではなく心の問題を治療する精神科医、心療内科医、あるいは精神腫瘍医という専門家の協力を仰ぐべきです。不安や抑うつを1人で抱え続けることによって、がん治療に悪影響を及ぼすことは珍しくありません。

一方、絶望の淵に追いやられた患者さんが精神科医の助けによって立ち直ることもよくあります。精神科・精神腫瘍科での治療とはどのようなものでしょうか。

がんという病気とともに生活していること自体、大きなストレスの原因となります。ストレスがこうじて不安や抑うつをきたすことがよくあります。こうした状態が長く続くと、主治医から精神科・精神腫瘍科を紹介されることになります。私たち精神科医は、まず患者さんの悩みや訴えを聞き取りながら、心の病であるかどうかという診断、診断に応じた治療方法の選択、治療すると症状が改善されることなどをご説明します。

精神科では診断にあわせて抗不安薬や抗うつ薬という薬物も使用しますが、最も重きを置いているのが精神療法です。つまり患者さんの訴えを聴き、問題点を整理することです。これは1回で済むわけではなく、何回も繰り返します。繰り返しているうちに、安堵と落ち着きが回復し、不安と葛藤というトンネルの向こうに明るい出口が見えるようになります。

一通りのがん治療を終えて、いざ退院というときも、実は不安になることがあります。入院中は身近に医師や看護師がいましたが、家に戻ればそうはいきません。また、入院中には強く意識していなかった、今後の生活や仕事の不安が現実のものとなります。今後も越えなければならないバリアがいくつもあることに気がついて愕然とする患者さんも少なくありません。こんなときにも、精神科・精神腫瘍科の外来を受診するといいでしょう。困ったらすぐに来てください。医師の顔を見るだけでほっとしたという患者さんもいました。

薬剤の精神的な副作用にも対処する

がん患者さんに現れる精神症状には、がんであるというストレスに由来するものの他に、治療に使っている薬剤が原因になっていることもあります。抗がん剤の中には副作用として精神症状が現れるものがあります。こうした症状をチェックすることも精神科・心療内科・精神腫瘍科の大切な仕事の1つです。薬剤の副作用と思われる症状が現れた場合は、主治医と協議して、一時的に休薬したり、別の薬剤に変更したりという手をうちます。何か変だなと感じたら、ためらうことなく受診するようにしてください。

医学的でない悩みも相談してください

患者さんの中には、「医師に相談するのだから、相談内容は症状など医学的な事柄に限定される」と考えている方が多いようです。しかし、精神科・精神腫瘍科の専門医に対しては悩みの内容については、そのような配慮は必要ありません。がん患者さんによっては、現在一番悩んでいることが、家族関係や経済的な問題であったり、職場の人間関係であるというケースもあるでしょう。「夫が話をきいてくれない」「子供が不登校だ」など、がんとは無関係ない、あるいは医学的な問題とは関係ない話題でも、医師に告げてください。患者さんも話すことによって、気持ちが楽になるということもあります。医師の側でも患者さんの悩みの原因をできるかぎり広く知り、いろいろな解決策を見つけたいと考えているものです。

薬とのつきあい方

精神科・心療内科・精神腫瘍科では患者さんの不安やうつ傾向がとりわけ強い場合は、抗不安薬や抗うつ薬などの向精神薬を処方することがあります。ここで大切なことは、薬は精神療法(カウンセリング)との組み合わせで最も効果を発揮するものであるということです。医師と対話し、心の中を整理しても、不安・抑うつが改善しない場合は、薬が有効になると覚えておいて下さい。大切なのは対話です。

 
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Last Updated: 2018/8/03L.JP.OH.09.2014.0841