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ご自身が、がんになったら

わかっていることといないこと、できることとできないこと。
整理整頓することがこころおだやかに過ごす秘訣

Q:

こころおだやかに過ごす秘訣を教えてください。

がんを告知されたとき、さまざまな不安や焦燥に駆らます。がんという全体像を受けとめようとすると、どこから手をつけてよいのか分からなくなってしまい、かえって不安が大きくなってしまうことはよくあります。不安の範囲をなるべく小さくして、心を穏やかに保つためのコツをお聞きしました。

岸本葉子さん

答えてくださる方

岸本 葉子さん
エッセイスト
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自分でわかっていることといないこと、自分でできることとできないことを区別する

がん告知を受けてから治療が終わるまでは、ある意味で緊張度の高い時期です。短期間にいろいろなことを意思決定していかなくてはならないので、自分がわかっていることといないこと、それから自分でできることとできないことを区別していくことがとても大事だと思います。

たとえばがんを告知された直後は、どうしてがんになったのだろうと思い悩みがちですが、それは自分でどうにかできることではないので、ひとまず置いておいて、できることから手をつけてみます。たとえば、近くのがん拠点病院はどこか調べてみたり、ひとりでは力が足りないと感じたら知り合いにSOSを発して、どの病院がよいのか調べてもらったり。がんという全体で捉えてしまうと、どこから立ち向かってよいのか途方に暮れてしまいます。そこで、医師からの説明をきちんと受け止めて、治療法はこれとこれがある、では自分にとってはどの治療法がよいのか、よくわからないからそれぞれの治療法について調べてみようというふうに整理していきます。一方で、がんに関しては、何が原因でなったのかなど、専門家でもわかっていないことがたくさんあるので、そこは深入りしません。

がんという言葉だけが先行すると自分のこころが楽観から悲観に極端に揺れてしまうんですね。がんだからもう死ぬんだと悲観したかと思えば、がんでもこんなに元気なのだからなにもしなくても治るのではないかしらと楽観してしまったりします。そうならないためにも、わかっていることといないことを把握することが、不安の範囲を限定して、自分のこころの動揺の振れ幅を小さくすることにつながるように思います。

また、告知から入院までの不安で焦燥感に駆られる時期には、“超”がつくほどの具体的なことに集中するのも一つの方法です。ここからここまでの2時間は美容院、ここはパジャマ探し、入院を機会にCDプレーヤーを買おうというように具体的なことに集中する時間を重ねていくのです。これは私自身の経験上とても効果的でした。

3つのポイント「日常生活に何らかの柱を立てる」「がん以外のことへの集中」「同じがんを経験している人との語らい」

「がんを経験した方はよく言われることですが、治療が終わってからが本当の意味での始まりです。治療までの期間は具体的な目標意識や治療への期待感でわりと乗り切れてしまいますが、治療が終わって初めて自分の力ではどうしようもないがんの本質に直面します。

考えられる最善の治療を受けたにも関わらず、完治ではなく再発転移の不安と長期に渡って向き合っていかなくてはならないこともあるでしょう。しかも医療者の24時間体制の管理下からも離れるわけです。治療が一段落してから日常生活に復帰していく中で、様々な不安と向き合い、いかにこころを穏やかに保っていくかは、とても重要で今日的な課題です。そのポイントを3つご紹介します。

まずひとつは、日常生活になんらかの柱を立てること。日常生活の中でがんに対して再発進行を防ぐ努力をしていると実感できることを持って、継続していくことは精神的にとてもよいと思います。私の場合は、がんを再発させないような食事をしようと決めました。科学的な立証はありませんし、不安がなくなるわけでもありませんが、少なくとも自分はなにもしていないわけではないという主体感の回復につながりますし、がんが勝手に育ってしまうという無力感や不安感からも解放されます。

この柱を持った上で、ふたつめは、がん以外のことへの集中。私の場合は仕事への集中がとてもよかったですし、ある人は家族との時間を持って充実させることに集中したとおっしゃっていました。趣味に集中したという方もいます。仕事でも趣味でも家族関係でもほかの人間関係でも、なにかに集中する時間を持つことがこころの安定につながるように思います。

みっつめは、同じがんを経験している人との語らいであったり、つながりであったり、交流です。1年くらい経った頃に、がんの方が集まるサポートグループで初めてがんの方と自由に話し、がんのことを普通に話題にできるということがこんなにもリラックスさせてくれるものかと驚きました。私にとってがん患者さんとの交流は、こころに大きな開放感をもたらしてくれました。

 
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Last Updated: 2018/8/03L.JP.OH.09.2014.0841