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ご自身が、がんになったら

試行錯誤しながら、自分にとってのベストバランスを探すつもりで

Q:

仕事と闘病を両立させるコツを教えてください。

がん治療を終えて職場に復帰するとき、通院や養生の時間と仕事の時間とのバランスは誰しもが悩む問題です。それぞれの置かれている状況で試行錯誤しながらベストなかたちを模索してゆきましょう。

岸本葉子さん

答えてくださる方

岸本 葉子さん
エッセイスト
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代案が出せるようになった変化

仕事と闘病の両立は私にとっても多くの葛藤がありましたが、闘病の内容や期間を始めとして、雇用形態によっても全く異なってくるため、一人一人が自分の置かれた状況を整理して、自分にとってのベストな形を探すことが必要です。

私自身に関して言えば、フリーランスで融通が利く反面、固定給がないので、休んだら休んだだけ収入がなくなります。入院中の銀行口座の出入りを見ると、収入はなにかの本の印税が660円だけだったのに対して、支出の方は電気、ガス、電話といった基本料金が1万円近くとさらにローン分が引き落とされているという現実があります。通帳記入をしてざーっと青ざめたことは一生忘れません(笑)

さらに、漢方を含めた年間の医療費が150~180万円ほどかかっていましたから、それ以上には働かなくてはならないわけです。しかも、通院、養生の時間が必要になるので、仕事の時間とのバランスはとてもシビアです。体力に応じて仕事の量を7割減にしたり、出張はしばらく受けないようにしたりという工夫はしていましたが、あまりに引き受けないと収入が維持できなくなってしまいます。

復帰後2年間はがんであることを告げていませんでしたので、仕事をする気がないと思われてしまう恐怖もありました。ですから、ただ断るのではなくて、これならばできますといつも代案を出すようにしていました。たとえば今月の〆切で原稿を執筆するのが困難という場合には、今月はスケジュール上お受けできませんが来月ではいかがでしょう、執筆は難しいけれどもインタビューでしたらお受けできますというように代案を提示することを心掛けました。かつては代案以前にとにかくできませんと言えない人間でした。できませんという勇気を持つと同時に代案が出せるようになったのは大きな変化でした。

臨機応変に、線の引き方はゆるくしておくとよい

がんであることを告げるかどうかも仕事との両立の面では大きな問題です。がんであることを公表すると今の部署からはずされてしまうかもしれない、辞めさせられるかもしれないと不安に思われる方は少なくないでしょう。本当にそうなるのかは言ってみなければわからず、リスクが大きいのも事実ですが、自身の思い込みという可能性もあります。私自身がんであることを公表しない時期がありましたので、お気持ちはとてもよくわかるのですが、反省も含めて、どうなるかの情報収集が自分でも足りなかったと感じています。

あのとき言っていれば楽だったと思う場面はたくさんありましたし、言わないことで誤解を与えることのマイナス影響もありました。言おうが言うまいが、自分の思い通りの反応が返ってくることがないことを踏まえた上で、自分にとってのメリットデメリットを考えてみます。その人その人の置かれている状況で、言わなくても乗り切れるならそれでよいし、やっぱり無理だと思ったら言ってみて、そこから新たなチャレンジをしてゆきます。試行錯誤するしかありません。

職場の反応も一通りではないので、どこまで気にしてどこまで聞こえないフリをするか。いろいろな声が聞こえてくるので、ある意味鈍感になります。誰々がなにを言ったといちいちぶれる必要はないけれども、一方で自分の立ち位置から1cmでもぶれたら受け入れませんというふうにしていると苦しくなるし、周囲との関係も悪くなるので、その辺は臨機応変にゆるくしておくほうが、無理がないように思います。本人にとっての線の引き方が大切です。

 
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Last Updated: 2018/8/03L.JP.OH.09.2014.0841