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パートナーが、がんになったら

無理せずに。
パートナーがそばにいるだけで患者さんは安心

Q:

自分に何ができるか分からず、不安で苦しくなります。

配偶者ががんになった場合、思いつめるあまり、看病する側であるご自身の心の健康を害してしまうケースが見受けられます。無理をしすぎないことが肝心です。「不安が強い」、「夜、眠ることができない」などの症状が現れたら、配偶者の主治医やかかりつけの医師に相談してみてください。家族は“第2の患者”という言葉もあります。

大西秀樹先生

答えてくださる方

大西 秀樹 先生
埼玉医科大学国際医療センター
精神腫瘍科教授

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がん治療では配偶者の方の心のケアも大切

がん患者さんの病棟に出向くと、付き添っている配偶者の方が口を閉ざして、表情が冴えないなあと思うことがあります。聴いてみると、「患者である相手の病状が思わしくなく、自分も強い不安に襲われている」と訴えられます。ご家族も「適応障害」と呼ばれる状態になることがあります。適応障害とはストレスによって不安、不眠、抑うつ、食欲不振が続くなどの症状を伴います。こうした方にカウンセリングを実施し、必要に応じて抗不安薬や抗うつ薬を服用してもらいます。すると落ち着いて、患者さんに向き合えるようになります。

がん患者さんの心の治療の専門家の間では「家族も第2の患者」といわれています。家族の苦しみは患者さんが病気の疑いを受けたときに始まり、適応障害やうつ病という患者さんと同様の症状を来たすこともあるためです。そのような第2の患者さんが数多く目についたことから、私たちの大学病院ではがん患者さんの家族を専門に診察する「家族外来」を開設しています。がん患者さんの配偶者や家族の方で「不安で眠れない」「涙が止まらない」などの症状が出た場合には、外来を受診するようにアドバイスしています。

特に、高齢化社会においては、患者さんも介護する配偶者もともに高齢者というケースが珍しくありません。気力や体力が衰えていくなかで、患者さんの面倒をみなければならないというのは、大きなストレスになるものです。したがって、がん治療の現場では、患者さんだけでなく配偶者の心の平穏も重要な要素になると考えられます。家族外来の目標は、配偶者の負担を減らして、より良い看病をしてもらえるようサポートすることにあります。

Doing(すること)よりBeing(いること)

パートナーががんと闘っている姿を見て、自分に何ができるのか、もっと何かしてあげることができるのではないかと自問する方が多いようです。パートナーの力になりたいという気持ちはとても大切です。でも思いつめるあまり、ご自身の心の健康を害してしまっては、看病もままならなくなります。何か役にたつことをしてあげようとしても、がんという病気が相手では、思ったように成果があがらないということもあるでしょう。そのような場合は、「何かする」ではなく、「ただそばにいる」だけでも患者さんにとってはありがたいものです。パートナーがそばにいるだけで、患者さんは安心することができます。専門家の間では「Doing(すること)よりBeing (いること)」という言い方をされています。

いることといっても、四六時中患者さんに付き添うべきだと言っているわけではありません。家族の方の仕事もあるでしょうし、時には、「一緒にいることも辛い」という気持ちになるかもしれません。そのようなときは無理して付き添わなくても大丈夫です。

看病は無理をせずに続けることが何よりも大切です。パートナーのあなたの健康もまた大切なのです。

 
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Last Updated: 2018/8/03L.JP.OH.09.2014.0841