TOP > パートナーが、がんになったら > 経済不安がある場合はすぐに病院の専門家に相談しましょう
 
パートナーが、がんになったら

経済不安がある場合はすぐに病院の専門家に相談しましょう

Q:

主人ががんになり、経済的に心配です。
誰に相談すればよいでしょうか?

働き手であるご主人ががんになった場合、仕事ができなくなるのではないかという身体面や社会面での心配に加え、医療費を払えないかもしれないという経済的な不安にも直面することになります。様々な社会保障制度はがん患者さんの生活も支えています。病院の相談支援センターなどの専門スタッフに相談してみましょう。

坪田由紀子先生

答えてくださる方

坪田 由紀子 先生
聖マリアンナ医科大学病院
総合相談・医療連携センター
(がん相談支援センター)
ソーシャルワーカー

プロフィールを見る

経済面での負担を軽減する制度を活用しましょう

世の中は大変な不景気にあります。そうした状況を反映して、病院の相談支援センターにも経済的な心配を理由にお見えになる方が増えてきました。昨年の金融ショック、そして派遣社員切りなどに見られる雇用不安は多くの人たちにとって他人事ではない問題です。一方で、国民の2人に1人ががんになるというくらい、がんが一般的な病気になっている現在、「経済不安を抱えるがん患者さん」という方が増えてくることも当然のことだと思います。

経済的な不安があると、安心して治療に専念することができなくなりますので、そのようなときには、病院の相談支援センターのソ-シャルワーカーなどに相談してください。

◆相談支援センター一覧
【URL】:http://ganjoho.ncc.go.jp/pub/hosp_info/index_03.html

(相談支援センターは、すべてのがん診療連携拠点病院に設置されています。患者さんやご家族からのがんに関するさまざまなご相談を、原則無料で、受けています。がん診療連携拠点病院で診療を受けていない方でもご利用いただけます)

経済面での負担を軽減するために、よく使われる制度として次のようなものがあります。

◆高額療養費制度

がんの治療法では、高額な薬剤を使用しなければならないケースも増えています。最新の分子標的治療薬の中には年間の薬剤費が数百万円もかかるものも珍しくありません。医療保険を使っても定率の自己負担は莫大なものになります。そうした患者さんを助けるための制度が、この高額療養費制度です。医療機関に支払った1か月の自己負担金の合算が、定められた限度額を超えた場合に、超えた分の金額が「高額療養費」として払い戻されます。払い戻しを受けるためには、患者さんが加入する医療保険の窓口に申請する必要があります。払い戻しは申請から2~3ヶ月後になります。

高額療養費の払い戻しの対象となる医療費は、通常の診察や入院、薬剤、検査、手術など保険診療の自己負担分です。自己負担金の限度は、患者さんの年齢、所得、ご家族の受診状況、入院か外来治療かなどによって異なります。自己負担限度額の計算方法については医療機関のソーシャルワーカーや、加入する医療保険の窓口にご相談ください。

◆高額医療費貸付制度

高額療養費制度は、自己負担限度額を超える医療費もいったん医療機関の窓口で支払い、のちに申請によって医療保険者から払い戻してもらう形が基本になります。医療保険者からの払い戻しが行われるまでの2~3カ月程度の間、高額な医療費を立て替えることが困難な場合に、医療保険者が医療費を貸し付けてくれるのが「高額医療費貸付制度」です。

貸付金は、高額療養費として払い戻される金額の8割相当額(保険者によって異なることがあります)で、利息はありません。貸付金の返済については、高額療養費(払い戻し額)との間で清算され、残りの2割が患者さんの指定した口座に振り込まれます。

貸付制度を利用する場合は必要書類を添えて、医療保険者に申請する必要があります。詳細については、加入する医療保険の窓口にご相談ください。

◆限度額適用認定証

高額療養費については先述のとおり払い戻してもらう形が基本ですが、入院の場合には、医療機関の窓口での支払い額を自己負担限度額までにすることもできます。この場合には、「限度額適用認定証」を医療機関に提出しておく必要があります。「限度額適用認定証」は、ご自身の加入する医療保険者に申請して交付してもらうことができますので、入院が決まったときなどには、早めに申請しておくとよいでしょう。

◆生活保護制度・医療扶助

生活が困窮している人に対して、最低限度の生活を保障するとともに、自活へ支援を目的とした制度です。生活保護を受けるためには、お住まいの地域を管轄する福祉事務所への申請が必要です。生活保護法による医療扶助の申請が認められた場合には、医療費の全額が公費での負担となります

高額な医療費の支払を助ける、高額な医療費の貸付をうける、医療機関窓口での支払を減額する、日常生活一般に関わる経済的な負担を助けるなどの目的で、様々な社会保障制度があります。制度の活用には細かく条件がつけられています。また手続きする窓口も加入する医療保険であったり、市町村の福祉事務所であったり、社会保険事務所であったりと異なっています。ぜひ、専門の相談員を活用するようにしてください。

患者に限らず家族全体の善後策を考える

相談してすぐに答が見つかるといいのですが、実際はいろいろな条件を検討して最善の方法を探すことになります。ともに良い答を探すお手伝いをすることが相談員の仕事ということができます。

患者さんの条件では、良い対策が見つからないこともあります。こういうときには、患者さん個人から離れて、家族全体を見渡して生活の援助ができないかを考えることになります。

このとき、家族に関わる情報など、患者さんを取り巻くなるべく多くの状況を相談員に話していただくことが大切です。現状では、できることに限界があっても、状況を正確に把握しておけば、将来状況が変わったときにアドバイスできることが生まれることもあります。

大切な生活再設計という視点

「病気になっても、以前と同じ生活を維持したい」という思いは誰でも同じです。しかし実際は、仕事を休職して収入額が変わったり、治療にかかる出費が生じたりすることによって、難しい場合も少なくありません。そのときは、以前の生活にこだわるのではなく、今後の生活をどうしていくかを新しく考え直すことをお勧めします。私はこれを生活再設計といっています。生活再設計を進める上で、患者さんや家族だけで悩むのではなく、ぜひソーシャルワーカーなど社会保障・福祉制度に通じた専門の相談員の力を借りることをお勧めします。

 
掲載されている情報・データはあくまで一般情報であり、個別の患者さんとその治療に関して特定の治療法などを推奨したりするものではありません。治療に関しての判断は、主治医などの医療者とご相談のうえご自分でなさってください。バイエル薬品株式会社は、当サイトを読んだことが引き起こすことに関して一切の責任を負いません。
 
Last Updated: 2018/8/03L.JP.OH.09.2014.0841