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お子さんが、がんになったら

子どもに寄り添っていく気持ちが大切です

Q:

子どもががんになりました。どのように接していけばよいのでしょうか?

ご両親にもお子さんにとってもがん治療を受けることは未知の経験。人生経験が少なく、検査や治療の意義を理解する力が乏しい子どもにとって、新しい環境は常に不安がつきまといます。親は医療スタッフと協力して、子どもが検査や治療の意義を理解できるように、また新しい環境に順応できるようにサポートすることを考えてください。

大曲睦恵さん

答えてくださる方

大曲 睦恵 さん
国立がん研究センター
中央病院緩和医療科
チャイルド・ライフ・スペシャリスト

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変わらぬ個性はそのままに

大人ががんになったときと子どもががんになったときでは受け止め方が違うのは当然です。大人と異なり、子どもにはあらゆる面で経験が不足しています。そのような状況の中では、親の振舞いが子どもに大きな影響を与える場面もあります。例えば、親が動揺していると、その動揺が子どもに伝わることもあります。困難に直面したときにはその家族の特徴が端的に現れるものですが、それぞれを個性と捉えると、何が良いと結論することはできません。大切なのは、子どもががんになっても、変わらぬ家族の文化が継続すること、子どもが好きだったことは継続出来るように工夫することです。

病気とともに環境の変化とも闘っている

ただしどのような子どもでも、病気や治療、それにともなう入院や通院により、病気と闘うことだけではなく、新しい環境に順応していくことを強いられます。病気によっては、入院期間は長くなり、退院後も外来での検査・治療を続ける必要が出てきます。がんの治療を受ける子どもは、家族や学校から長い間離れることや、薬剤の副作用で頭髪が抜けたり、体型が変化することもあります。こうした変化に子どもが情緒的に順応できるようにサポートしていくことが重要です。

治療を受けるのは子どもですが、親がそのそばで何をしてあげればよいでしょうか。第一に子どもの心に寄り添っていくことです。そこで得られた安心感を糧に子どもは環境に徐々に慣れていきます。さらに、医療スタッフとの役割分担も意識していくとよいと思います。まず、医師は子どもに病気について、治療方法について説明します。親は、その説明をさらに噛み砕いて子どもに説明してあげることができます。また、話を聞いただけでは現実のものと捉えることができなくても、実際に治療が始まると、「こんなに大変だったのか」とショックを受けることも珍しくありません。このようなショックを和らげるのも医師や看護師と並んで親の存在が大きいものです。いつもそばにいて寄り添ってあげるという姿勢で接すると、子どもも大きな安心感を得ると思います。

がんの闘病では、採血や骨髄穿刺など侵襲性が高い検査や治療を受けることも少なくありません。こうした検査や治療は大きなストレスになりますが、特にその意義を十分に理解できない子どもの場合は、より不安や恐怖を募らせることになるかもしれません。しかも大人と違って上手に言葉で表すことができません。どのような検査や治療が行われるのか、あるいは行っているのかを丁寧に発達段階に合わせて説明していくことが必要になります。

子どもの心を感じ取り、尊重する

大人ががんになる場合も同じですが、「なぜがんになったのか」を説明することはできません。しかし、子どもは子どもなりの理解をしているのです。中には、「がんになってしまったのは、自分が悪いことをしたからだ」と考え、心を痛めている子どももいるかもしれません。そういう言動が子どもの口から出てきたら、がんになってしまったのは、自分が悪いわけではないことを、しっかりと説明しておく必要があります。

困難に立ち向かうことは子どもが成長するためのきっかけと捉えることもできます。しかし、人生経験が少ない子どもにとっては、大きな苦痛も伴うことになります。子どもはこの苦痛を言葉で表現することが上手ではありませんが、遊びや絵を描くことを通してそれを表現できることもあります。私たち大人ができることは、子どもが生活しやすく、また子どもの心に寄り添いながらその思いを感じ取り、尊重していくことではないかと思います。

 
参考資料:

青木睦恵:こどもの心に寄り添うこと,緩和ケア別冊,18,28-32,2003

大曲睦恵:がん化学療法におけるチャイルド・ライフ・スペシャリストの役割,Nursing

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Last Updated: 2018/8/03L.JP.OH.09.2014.0841