TOP > お子さんが、がんになったら > 勉強も大切ですが、級友たちとのつながりにも配慮を
 
お子さんが、がんになったら

勉強も大切ですが、級友たちとのつながりにも配慮を

Q:

入院中に学校の勉強が遅れてしまうのではと不安です

長期の闘病や入院によっては、学校生活や級友たちと疎遠になってしまいます。勉強は院内学級や訪問学級である程度カバーできますが、もっと大切なことは級友たちとの関係です。級友たちとのつながりを維持することは闘病の支えになり、復学時にも大きな意味を持ちます。親と病院スタッフ、学校の先生方が団結して支援にあたることをお勧めします。

大曲睦恵さん

答えてくださる方

大曲 睦恵 さん
国立がん研究センター
中央病院緩和医療科
チャイルド・ライフ・スペシャリスト

プロフィールを見る

勉強の継続は闘病への支え

がんの治療を受ける子どもたちの多くは、今まで通っていた学校や周囲の友人と離れて治療を受けています。入院が長期におよぶ場合、学校の勉強が遅れてしまうのではないかという心配が出てくるのも当然のことだと思います。静岡がんセンターでは、がんにかかった子どもが6カ月以上入院する場合には、訪問学級という形で授業を受けることができます。制度上、そこまで長期入院とならないと授業を受けることはできないのですが、病院によっては、先生方の厚意によって、勉強を見ていただくことも可能かもしれません。このような制度は、義務教育を受けている子どもさんを対象にしています。

高校生以上になると進路に大きく影響してきます。静岡がんセンターでは、進学をひかえた高校生の患者さんの多くの事例を経験しています。欠席中に課題を出してもらって単位に振り替えてもらった人、留年した人、退学した人、単位制の高校に転校した人など様々です。他の病院のケースですが、高校を退学して大学入試検定を受けた人もいたそうです。

いずれにせよ、子どもの闘病にとって大切なのは、病気にかかる前に続けていたことを、入院後、闘病開始後もなるべく続けていくことです。ですから、学校の支援を受けること、勉強を継続することは単純に「学業の支援」ということだけではなく、闘病の支えになるという観点からもとても大切です。最も重要なのは、仲間や級友とのつながりを感じているということなのです。

級友にわかってもらうことの大切さ

闘病するために多くの場合、長期間、学校を休み、級友と離れることになります。

私には忘れられない経験があります。私は小学校5年生の患者さんが級友たちを前に、「がんの治療のために学校を休むことになります」と説明する場面にいたことがあります。するとある級友が手を挙げて「○○さんのがんのステージはいくつですか」と質問したのです。非常な驚きでした。知識は大変な勢いで普及していますが、「がん」という病名やそのイメージが一人歩きし、その病気になってしまった本人の「気持ち」が伝わることは少ないように思います。級友に「闘病するということはどういうことなのか」「どのような気持ちでその子が闘病しているのか」を知ってもらう必要を感じました。

そこで、現在は入院した子どもが落ち着いたところで、改めて本人、学校の先生(担任や時に校長も同席)、親、医師、看護師などが集まって、子どもの級友たちにどのように説明すべきかを、本人の意向を尊重しながら話し合うことにしています。がんの種類や進行度などの説明が大切なわけではありません。大切なのは、「学校に戻りたいけど戻れない」「さみしい」「1人でがんばらないといけない」という「気持ち」が級友たちに伝わることです。近況を伝える場合も「脚に腫瘍ができているけど、毎日歩く練習をしている」など、級友たちが患者さんの状況や心情を現実として捉えることのできる具体的な話が伝わることが大切です。

それでも、心ない噂が絶えることがないという現実もあります。そんなときには、「勇気を出して本当のことを話して、少数派でもいいから本当の味方をつくろう」とアドバイスしています。

復学を見越した学校への説明

こうした闘病中における学校や級友たちへの説明は、復学時に大きな意味を持ちます。復学時に、級友たちが病気を正しく理解し、思いやりを持って本人に接してもらうことができるようになるからです。

長期間、学校や級友と離れていると元の生活にもどるには様々な問題が生じます。例えば、治療や投薬の副作用による容貌や体型の変化(体重の増減、皮膚の色の変化、脱毛やかつら、手術や治療の跡、松葉杖や車椅子の生活)、体力低下(疲れやすい、感染しやすい)、勉強の遅れ、精神的な負担です。病気になる前と同じように過ごすことができなくなっています。また伝染するのでは?というような病気に対する誤解も本人を苦しめる要因となります。そうした事態をできる限り避けるためには、学校の先生や医師、本人に親を交えて、復学上の問題になりそうな事柄を事前に話し合っておく必要があります。

また、こうした復学後の支援などを想定して、財団法人がんの子どもを守る会(http://www.ccaj-found.or.jp/)が具体的なアドバイスを記した冊子を頒布しています。知識や問題意識を共有するために、こういう冊子を学校の先生にも渡すことも有効です。この会は電話相談を行っているほか、地域の支部でも独自の活動を行っていますので、不安な場合は相談してみることをお勧めします。

 
参考資料:

青木睦恵:こどもの心に寄り添うこと,緩和ケア別冊,18,28-32,2003

大曲睦恵:がん化学療法におけるチャイルド・ライフ・スペシャリストの役割,Nursing

掲載されている情報・データはあくまで一般情報であり、個別の患者さんとその治療に関して特定の治療法などを推奨したりするものではありません。治療に関しての判断は、主治医などの医療者とご相談のうえご自分でなさってください。バイエル薬品株式会社は、当サイトを読んだことが引き起こすことに関して一切の責任を負いません。
 
Last Updated: 2018/8/03L.JP.OH.09.2014.0841