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お子さんが、がんになったら

お父さん、お母さんは「いつでも子どもの味方」というポジションで

Q:

治療に不安や不満があるようです。
どうしたらいいでしょう?

がんになったお子さんが治療に不安や不満を抱くことは自然なことです。時には治療を拒むこともあるでしょう。子どもが言いたいことを言える場づくり、子どもにもわかる説明、子どもへの共感と励ましが大切です。

楠木重範先生

答えてくださる方

楠木 重範 先生
大阪医療センター
小児科医師

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言いたいことを言える場づくり

私が理想とする治療スタイルは、子どもをチームのリーダーとし、お父さん、お母さん、医師、看護師、その他のスタッフが支える医療チームを作ることです。子どもの意思をきちんと確認し、それに応えていくことを治療方針としています。患者中心の医療をもじって「子ども中心の医療」と呼んでいますが、この体制作りは実際にはとても難しいものです。体制づくりのために私が心掛けている3つのポイントをご紹介します。

まずは、子どもが自分の意思をきちんと伝えることのできる環境を整えること。

「検査が怖い」、「注射が痛い」、「手術を受けたくない」――。がんの治療を受けている子どもにはたくさんの不満や要望があります。今どのような気持ちで、どんな疑問や不安があり、これからどのように過ごしたいと考えているか、子どもが言いたいことを我慢することなく言える場づくりが大切です。

お父さん、お母さんには「いつでも子どもの味方」というポジションを崩さないでいただきたいとお願いしています。子どもを説得する側に回らないことが大切です。親に「ほら、注射しなさい」「飲まなければ、治らないよ」などと言われると子どもは「ほんとに自分の味方なのかな」と不信感を持つようになって、不満やつらいことがあっても本心を話さなくなってしまいます。

今は飲み薬を点滴に変更したり、他の薬に変えたりすることもできますから、我慢せずに何かつらいことがあればすぐに伝えるようにお子さんに話していただきたいと思います。

子どもにわかる言葉で、うそはつかない

次に心掛けているのは、子どもにもわかる言葉で病気や治療を説明することです。

「何でこんな薬を飲まなければいけないのか」「何で入院しないといけないのか」、「いつから学校に行けるのか」、がんの治療を受け始めたばかりの子どもたちはそんなことを考えています。今起きていること、これからのことがわからないと、子どもはとても不安に感じてしまうのです。

そういうときは、「体のなかに悪い菌がいるから薬でそれをやっつける」などといった子どもにもわかる言葉で、絵本や教材なども活用しながら説明をしています。子どもなりに理解してくれれば、彼らも頑張って治療を受けてくれるものです。

私たち医療者は、ガーゼを剥がしたり、注射をするなど、子どもにとっては痛いことをする人です。それらの行為についても、子どもがわかる言葉で説明できれば、「医師も看護師も自分の味方だ」と思ってもらえます。

ご両親にも病気のことについて正しく理解していただき、医療者と相談しながら。子どもに病気や治療についてわかりやすく伝えていただきたいと思います。

子どもに説明するときに一番大切なのはうそをつかないことです。同じ病棟の友だちが亡くなって「僕もあの子と同じがんなの?」と聞いてくる子もいます。「がんなの?」と聞かれて「がんじゃないよ」と言うのはやはり問題があります。うそをついてしまうと、子どもはこちらを信用しなくなるからです。

そういう場合は子どもと医療者で話す方が良いこともあります。その場に、両親が加わると子どもは心配をかけまいと何も話さなくなってしまうこともあるからです。お子さんにどこまで話すか、がんだと伝えるかどうかは、事前に両親と医師で話し合っておけば良いのです。

私は両親との話し合いでは、本当のことを伝えた方が良いとお話しますが、最終的に決めるのは両親です。ただし、事前の話し合いでがんだと伝えると決めていても、子どもと話してみてそこまで望んでいないなと思った場合は病名を話さないこともあります。

共感と励まし

そして子どもに共感し、子どもを励ましてあげること。

治療期間が長くなると自棄になる子どももいます。そういうときも叱るのではなく、共感してあげてください。「痛い」、「嫌だ」、「苦しい」、いろんな泣き言を言ってきます。お父さん、お母さんも大変辛いと思いますが、そういうときは「そうだね、痛いのは嫌だね」と共感した上で、「そんな痛いことを頑張るあなたはさすが」と褒めてあげることです。

子どもの不満や要望をどんどん言ってもらう、子どもに分かる言葉で今起きていること、これからのことを説明する、そして共感して励ましてあげることが「子ども中心の医療」のポイントと考えます。「今日はよく頑張ったね、すごいね」という言葉で子どもは救われます。治療に対するモチベーションを上げて、みんなでがんと戦えば、良い結果になるはずです。

 
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Last Updated: 2018/8/03L.JP.OH.09.2014.0841