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パートナーが、がんになったら

配偶者との死別の悲しみは
1人で抱えないように

Q:

配偶者がなくなりました。つらくて何も手につきません。

闘病の末に訪れた配偶者の死は遺族にとって大きなストレスになります。ときには遺族の健康が損なわれることもあります。死別の悲しさを1人で抱えるのではなく、親しい友人などと話あってみましょう。「遺族外来」などの専門外来を利用することもできます。

大西秀樹先生

答えてくださる方

大西 秀樹 先生
埼玉医科大学国際医療センター
精神腫瘍科教授

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配偶者との死別はストレスが大きい

私の勤務する埼玉医科大学国際医療センターでは、がん患者さんの看病・介護をする家族の心をサポートしようと「家族外来」を、続けて「遺族外来」を開設しました。遺族外来立ち上げのきっかけは、家族外来を受診していた方が、患者さんが亡くなられた後も来院したため、いわば自然発生的な開設でした。

遺族となったことによるストレスについては一般的にあまり認識されていないようですが、実は深刻な問題をはらんでいます。特に配偶者が遺族となったケースでは、その後半年間の死亡率が上昇することが知られています。また、それまで自身の健康上の理由から医療機関を受診していた場合、その受診率が低下するという調査結果もあります。自殺率も上昇することが知られています。

感情を無理に押し込めない

遺族が体験する身体的・精神的打撃には「後治療」と呼ばれる医学的な介入が必要です。遺族の方の中には、看病や介護について「もっとできたのではないか」と自責の念や後悔の念を持っている方がいらっしゃいます。患者さんの臨終に立ち会うことができなかった場合、あるいはせん妄が出て話すことができないうちに患者さんが亡くなってしまったというようなときに、遺族の方の後悔や自責の念が強くなるようです。このとき、医師に、事実経過を整理して話してもらうと、気持ちが落ち着くことが多いようです。

大切なのは感情を無理に押し込めないということです。

看病のときの様子やそのときに気になっていたこと、死別後の辛さなどを精神科、心療内科、精神腫瘍科でお話しください。繰り返して話しているうちに気持ちの整理がついてくるものです。

埼玉医科大学に遺族外来を開設して3年になりますが、開設当初から受診していた方々が徐々に立ち直りつつあります。3年もかかるのかと驚く方がいらっしゃるかもしれませんが、これくらいかかるのが普通なのです。それほど、死別はパートナーにとって辛いものです。

遺族同士が集まって思いを語り合うグループが身近にある場合は、参加してみるのもよいでしょう。そうしたグループが近くにあるかどうかは、医師や看護師、ソーシャルワーカーに尋ねてみてください。

男性遺族のダメージが大きい理由

配偶者の死がもたらす精神的なダメージは女性よりも男性に大きく現れるようです。英国では、妻に死なれた夫が1年以内に死亡する割合は、夫に先立たれた妻よりも高くなるという調査があります。この場合、最も多かった死因は心臓麻痺によるもので、男性遺族を襲うストレスの大きさを物語る研究として、精神医学の専門家の間ではよく知られています。

男女間でこうした違いが出る最大の理由は、配偶者を失った悲しみや孤独感を男性は1人で抱え込んでしまう傾向があるためだと思います。気持ちを表に出すことでストレスを和らげることは女性の方が向いているようです。私たちの遺族外来にはがん患者さんの遺族が常時50人ほど来院されますが、90%近くは女性です。妻に先立たれた悲しみをじっとこらえている男性の姿が想像されます。孤独感や寂寥感を外に向かって吐露することが遺族にとっては大切な再生・回復のための行動だと考えてください。

 
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Last Updated: 2015/5/13L.JP.OH.09.2014.0841